文末表現で一気に変わる!バリエーションと選び方、句読点について
文をどのように終わらせるか。文末は文章の印象やリズムを大きく左右します。文末表現の選び方や、文末にバリエーションをつける方法、文末を選ぶときの注意点について解説します。
■文章のリズムを決める!文末表現の重要性
文の末尾は、その文の意味やニュアンスの伝わり方、読みやすさ、リズムなどを決める重要な要素です。書いた文章を読んだときに、「なんだか冗長な感じがするなあ」「野暮ったい感じがするなあ」「上から目線な感じがするなあ」と違和感を覚えたら、文末を調整できないか考えてみましょう。
<おもな文末例一覧>
〜です・〜ます/ 〜だ・〜である | 断定 |
〜でしょう/〜だろう | 推量 |
〜でしょうか/〜ですか/〜だろうか | 疑問 |
〜かもしれません/〜かもしれない | 推量・可能性 |
〜そうです/そうだ | 伝聞 |
〜ようです/ようだ | 様態 |
〜と考えられます/〜と考えられる 〜と推測されます/〜と推測される 〜とされています/〜とされる | その他(推量など) |
■文末表現に変化をつけて、単調な文章から脱却しよう
文章にメリハリをつけてリズムをよくしたいときには、文末にバリエーションを持たせるように工夫します。特に、三回以上連続で同じ語尾を使用しているときには、気をつけてみていきましょう。文末を少し変えるだけでもイメージはガラッと変わります。例文で確認していきます。
<例文1>
Before
勤務中に猛烈な睡魔に襲われ、居眠りをしてしまいました。起きたら上司と目が合って、気まずい思いをしました。バレないように寝る方法を考えたいと思いました。
After
勤務中に猛烈な睡魔に襲われ、居眠りをしてしまいました。起きたら上司と目が合って、気まずい思いをしました。バレないように寝る方法を考えたいです。
ちがいは一箇所だけ。最後の文の文末が「考えたいと思いました」から「考えたいです」に変わっています。
ちょっとした変更ですが、読んだときの印象はどうでしょか。「〜ました」が三連続だとメリハリがありませんが、一箇所を別の語尾に変えるだけで、引き締まった印象になりました。
<例文2>
Before
わたしはあんぱんが大好きです。ぎっしり詰まったあんを想像するだけで楽しいです。将来はあんぱん専門店を開きたいです。
After
わたしはあんぱんが大好きです。ぎっしり詰まったあんを想像するだけで楽しくなります。将来はあんぱん専門店を開きたいです。
こちらも真ん中の一文を少し書き換えただけですが、変化をつけたほうがスタイリッシュな印象になっているのがわかります。
<例文3>
Before
あの日僕は、近所のパン屋に向かった。大好きなあんぱんを買うためだった。
でも入店して気づいた。財布がなかった。
「バカだなあ」
そう心の中でつぶやくと、僕は店をあとにした。
After
あの日僕は、近所のパン屋に向かった。大好きなあんぱんを買うためだった。
でも入店して気づいた。財布がない。
「バカだなあ」
そう心の中でつぶやくと、僕は店をあとにした。
「財布がなかった」を「財布がない」に変えました。「〜た」と過去形が続く文章の中に現在形を混ぜることで、臨場感が出て感情移入しやすい文になっています。
過去のことだからといって、必ずしもすべての文を過去形にしなければならないわけではありません。不自然にならない範囲で時制を変えて、メリハリと臨場感をプラスしてみましょう。
■同じ文末をあえて繰り返し、躍動感を与える方法もある
「文末を変化させるように」というのが文章術の本や記事では鉄板ですが、あえて同じような文末を繰り返すことでリズムの反復が生まれ、文に躍動感がでるケースもあります。エッセイや小説によくみられる表現方法です。やや上級者向けではありますが、臨場感や躍動感を与えたいときに挑戦してみてください。
<例文>
彼は歩いていた。まっすぐ前を見て歩いていた。横を見ることも、後ろを振り返ることもない。立ち止まることもない。ただまっすぐに、前を向いて歩いていた。
「〜歩いていた」を三回、「〜もない」を二回用いた文章です。同じ文末を反復することによってリズムが生まれています。
■文末の句点の打ち方!「……」の多用に注意
文末の「。」を句点といいます。読点(「、」)は一文の中で節を区切るのに対して、句点は文そのもののまとまりを示します。読者が読みやすく理解しやすい文にするためには、一文は最長でも80字程度にとどめるようにしましょう。
ただし、あまりにも短い文が連続していると「。」が多すぎて読み疲れてしまいますから、細かく切ればいいというものでもありません。目で見て、さらには音読もして、違和感がないかたしかめていきましょう。
また、文末の「……」は、便利ではありますが頼りすぎないように注意が必要です。気持ちやセリフを書くときや、同様のものをいくつも羅列するときにしばしば利用される表現ですが、多用すると文章が読みづらくなってしまいます。
見た目が雑多でうるさい雰囲気になりますし、「……」が省略している内容が伝わらず、あいまいな印象を与えることもあります。使うとしても文章全体で1〜2回、ここぞというときにのみ使用するように心がけてみてください。
■文末で「ぼかす」表現も使いすぎに注意
書く内容に自信が持てないときや、人から聞いたことを話すときに、「〜ようです」「〜そうです」「〜らしいです」「〜といわれています」「〜とされています」「〜かもしれません」といった文末を使用することがありますよね。
これらのあいまいなぼかし表現を使用すること自体は構いませんが、使いすぎると信ぴょう性のない文章だと判断されてしまいます。必要最低限の使用にとどめましょう。
すでに一般論として定着しているものや一定の根拠資料が存在する内容であれば、断言しても問題ありません。公的な書類や信頼できる機関・人が書いた記事など、根拠となる資料は本文中や文章の終わりに記載しておきます。
一方で、もちろんのことながら、個人的な推測や考えについては「事実」とは区別して示す必要があります。客観的な事実はできるだけ断言しつつ、感想や考えは「〜だろう」「〜と考える」といった文末を使って書き分けていきましょう。
■文末を体言止めにするメリットとデメリット
文末を体言(名詞)で終わらせる表現のことを「体言止め」といいます。体言止めも文章のリズムをよくするために有効な方法の一つで、軽快で親近感のある印象をもたらしてくれます。
一方で、使いすぎには注意が必要です。体言止めは名詞の後ろに続く語句を省略する表現であり、多用すると省略だらけの文になってしまうからです。読者に負担をかけすぎないよう、「一段落につき一回まで」「使わないとリズムが悪いときだけ使う」というように制限して使用するとよいでしょう。
<NG例>
今日のおやつは、チョコレートアイスクリーム。なめらかな口当たりと濃厚なカカオの味。わたしはこれが本当にたまらない。楽しみにしていたら、仕事もがんばれそうな予感。
<OK例>
今日のおやつは、チョコレートアイスクリーム。なめらかな口当たりと濃厚なカカオの味が、本当にたまらない。楽しみにしていたら、仕事もがんばれそうな予感がする。
NG例では体言止めを使用しすぎて文章がぶつ切りになっています。読みにくいため、OK例では体言止めを三つから一つに減らしました。
■まとめ
・文末は文章の印象やリズムを決める大切な部分
・同じ文末が連続しすぎないように変化をつけると、文章にメリハリが生まれる
・あえて同じ文末を反復させ、文章に勢いをもたせる方法もある
・一文は長すぎず短すぎず。「……」はここぞというときのみ使う
・あいまいな文末表現や体言止めも多用には注意する。